相続放棄質問50選

ここでは、よくある質問を50個集めました。相続相談実績2,400件の法律事務所が監修しておりますので、信頼性の高い内容になっています。

目次

相続放棄の基礎知識

Q1. 相続放棄とは何ですか?

A. 相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産や負債を一切引き継がない手続きのことです。これにより、相続人としての権利と義務の両方を放棄することになります。

Q2. 相続放棄をすると、何が起こりますか?

A. 相続放棄をすると、法律上「最初から相続人ではなかった」とみなされます。そのため、遺産を受け取ることも、借金を背負うこともなくなります。

Q3. 相続放棄をしても、遺産の一部を受け取れますか?

A. いいえ、相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄することになります。遺産の一部だけを放棄することはできません。

Q4. 相続放棄はどこで手続きできますか?

A. 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きが必要です。必要書類を揃えて申立てを行い、裁判所の審査を経て正式に相続放棄が認められます。

Q5. 相続放棄の手続きに必要なものは?

A. 「相続放棄申述書」と、被相続人の戸籍謄本、申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本、家庭裁判所の求めるその他の書類が必要です。

2. 相続放棄の期限

Q6. 相続放棄の期限はいつまでですか?

A. 相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3か月以内に手続きをしなければなりません。

Q7. 3か月の期限を過ぎたら相続放棄はできませんか?

A. 原則としてできません。しかし、借金の存在を知らなかった場合など、特別な事情があると裁判所が認めるケースもあります。

Q8. 期限の3か月はいつからカウントされますか?

A. 通常、被相続人が亡くなった日を知った時点からカウントが始まります。 ただし、遺産の存在を知らなかった場合は、裁判所の判断でカウントの開始時期が変わることもあります。

Q9. 3か月の期限を延長することはできますか?

A. はい、家庭裁判所に申し立てをすれば、期限を延長してもらえる場合があります。ただし、必ず認められるわけではありません。

Q10. 期限を過ぎてしまった場合、どうすればよいですか?

A. すでに遺産を処分していないか、相続を承認するような行動をしていないかを確認し、早急に弁護士に相談することをおすすめします。

3. 相続放棄の影響

Q11. 相続放棄をすると、他の相続人に影響がありますか?

A. はい、相続放棄をした場合、次の順位の相続人に相続権が移ります。そのため、兄弟姉妹や甥姪が相続することになる可能性があります。

Q12. 配偶者は相続放棄をするとどうなりますか?

A. 配偶者が相続放棄をしても、他の法定相続人(子供や両親など)がいれば、その人たちに相続権が移ります。もし相続人が誰もいない場合は、財産は最終的に国庫に帰属します。

Q13. 兄弟姉妹が相続放棄をすると、どうなりますか?

A. 兄弟姉妹が相続放棄すると、その子(甥や姪)に相続権が移る可能性があります。甥や姪も相続放棄すると、遺産は国庫に帰属します。

Q14. 相続放棄をすると、親の財産の管理責任もなくなりますか?

A. 完全に管理義務がなくなるわけではありません。 一定の範囲で相続財産の管理責任が生じることがあります。

Q15. 相続放棄後も遺族年金や保険金は受け取れますか?

A. はい、生命保険金や遺族年金は相続財産ではなく、受取人固有の権利なので、相続放棄をしても受け取ることができます。


4. 相続放棄と債務(借金)

Q16. 相続放棄をしても、保証人の責任はなくなりますか?

A. いいえ、保証人の責任は相続放棄とは別の契約に基づくものなので、免れません。 そのため、相続放棄をしても保証債務の支払い義務は継続する可能性があります。

Q17. 被相続人の借金を知らなかった場合でも、相続放棄できますか?

A. 知らなかった場合でも、原則として3か月以内に相続放棄をしなければなりません。 しかし、借金の存在を知らずに期限を過ぎた場合は、例外的に相続放棄が認められることもあります。

Q18. 相続放棄をしたのに借金を請求されたらどうすればいいですか?

A. 家庭裁判所の「相続放棄申述受理通知書」を提示し、相続放棄したことを証明してください。 それでも請求される場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

Q19. 相続放棄をした場合、住宅ローンはどうなりますか?

A. 住宅ローンも相続財産に含まれるため、相続放棄すれば支払い義務はなくなります。ただし、家を相続する人がいなくなった場合は、最終的に競売や国庫帰属の手続きが必要になります。

Q20. 相続放棄後も税金の支払い義務は残りますか?

A. 相続放棄をすると、相続税や固定資産税の支払い義務はなくなります。

5. 相続放棄と家庭裁判所の手続き

Q21. 相続放棄をするための具体的な手続きは?

A. 家庭裁判所に「相続放棄申述書」と必要書類(戸籍謄本など)を提出し、審査を受ける必要があります。裁判所の審査を経て、正式に相続放棄が認められます。

Q22. 家庭裁判所に行かずに相続放棄の手続きはできますか?

A. 郵送での手続きも可能ですが、家庭裁判所から追加の質問がある場合は、出頭を求められることがあります。 その際には、裁判所に赴く必要があります。

Q23. 相続放棄の審査期間はどのくらいかかりますか?

A. 通常、申し立てから1~2か月程度かかります。 ただし、書類に不備がある場合はさらに時間がかかることもあります。

Q24. 家庭裁判所の審査で相続放棄が却下されることはありますか?

A. はい、期限を過ぎていた場合、財産を処分していた場合、必要書類に不備がある場合 などには却下されることがあります。

Q25. 相続放棄申述受理通知書とは何ですか?

A. 相続放棄が認められたことを証明する書類 で、債権者から請求を受けた際などに提示できます。

6. 相続放棄後の財産の扱い

Q26. 相続放棄をした後、遺産はどうなりますか?

A. 他の相続人が引き継ぐことになります。相続人がいない場合、最終的に財産は国庫に帰属します。

Q27. 相続放棄をしたのに遺品整理をしても大丈夫ですか?

A. 遺産を勝手に処分すると、相続を承認したとみなされる可能性があります。 注意が必要です。

Q28. 相続放棄をした後でも、家の中のものを持ち出せますか?

A. 勝手に財産を持ち出すと、相続を承認したと判断される可能性があるため、慎重に対応してください。

Q29. 被相続人の家に住んでいる場合、相続放棄後も住み続けられますか?

A. 相続放棄すると家の所有権がなくなるため、住み続けることは基本的にできません。 立ち退きを求められる可能性があります。

Q30. 相続放棄をしても、仏壇や墓の管理はどうなりますか?

A. 仏壇や墓の管理は相続財産とは別の問題として扱われるため、相続放棄しても管理責任が残ることがあります。

7. 相続放棄と債権者の対応

Q31. 相続放棄をしても、債権者から取り立てを受けることはありますか?

A. 取り立てを受ける可能性はありますが、家庭裁判所の「相続放棄申述受理通知書」を提示すれば支払い義務がないことを証明できます。

Q32. 相続放棄後に債権者から裁判を起こされた場合、どうすればいいですか?

A. 相続放棄申述受理通知書を裁判所に提出し、相続放棄したことを証明してください。 それでも問題が解決しない場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

Q33. 連帯保証人になっていた場合、相続放棄しても責任はなくなりますか?

A. いいえ、連帯保証人としての責任は相続放棄では消えません。 そのため、別途対応が必要です。

Q34. 相続放棄をした後、他の親族に債権者が請求することはありますか?

A. 次順位の相続人に請求が行く可能性があります。 そのため、親族が負担を強いられる可能性があることも考慮する必要があります。

Q35. 相続放棄をしても、税金の支払い義務は残りますか?

A. 相続税や固定資産税の支払い義務はなくなりますが、生前の未払い税金がある場合は、次順位の相続人に支払い義務が移る可能性があります。

8. 相続放棄と遺族年金・保険

Q36. 相続放棄をしても遺族年金は受け取れますか?

A. はい、遺族年金は相続財産ではなく、受給者の権利なので、相続放棄をしても受け取ることができます。

Q37. 相続放棄をしても死亡退職金は受け取れますか?

A. 受取人が指定されている場合は、相続放棄をしても受け取ることができます。

Q38. 相続放棄をしても生命保険金は受け取れますか?

A. はい、生命保険金は相続財産ではなく、受取人固有の権利なので、相続放棄をしても受け取ることができます。

Q39. 未支給年金は相続放棄後も受け取れますか?

A. いいえ、未支給年金は相続財産とみなされるため、相続放棄をすると受け取れません。

Q40. 相続放棄をしても、扶養義務は残りますか?

A. 相続放棄をしても、扶養義務は別問題として残る可能性があります。 そのため、親族から扶養を求められる場合もあります。

9. 相続放棄後の生活への影響

Q41. 相続放棄をすると、住んでいた家から退去しなければなりませんか?

A. 相続放棄をすると、被相続人の財産を一切引き継がないため、住んでいた家の権利も失います。 その家に他の相続人がいる場合は、その人と話し合う必要があります。もし債権者が処分を求めた場合や、相続人がいなくて管理人が選任された場合は、立ち退きを求められる可能性が高いです。

Q42. 相続放棄をしても、被相続人と同居していた場合、一定期間は住み続けられますか?

A. 法的には相続放棄をするとその家の権利を失いますが、次の相続人や債権者が手続きを進めるまでの間は、実際には住み続けることができるケースもあります。ただし、居住の権利がないため、いずれ退去しなければならない可能性が高いです。

Q43. 相続放棄をすると、自分名義の銀行口座やクレジットカードに影響はありますか?

A. いいえ、相続放棄をしても自分の財産には影響がありません。 ただし、被相続人の銀行口座の相続手続きは他の相続人が行うことになります。

Q44. 相続放棄をしても、被相続人のクレジットカードの請求が来ることはありますか?

A. いいえ、相続放棄をすれば、被相続人のクレジットカードの支払い義務は消滅します。ただし、相続放棄の手続きが完了する前に請求が来ることはあり得ます。 その場合は、相続放棄の証明書をカード会社に提出すれば問題ありません。

Q45. 相続放棄をしても、扶養義務は残りますか?

A. はい、扶養義務は相続とは別の問題です。 例えば、親の介護費用や生活費の負担を求められることがあるため、相続放棄=すべての責任がなくなるわけではない点に注意が必要です。

10. 相続放棄の注意点と撤回の可否

Q46. 相続放棄の手続きをした後に、やっぱり撤回したいと思ったらどうなりますか?

A. 原則として、一度行った相続放棄は撤回できません。 ただし、詐欺や脅迫によって相続放棄を強制された場合など、特別な事情があると家庭裁判所の判断で取り消せることがあります。

Q47. 過去に相続放棄をしたことがあると、今後の相続に影響しますか?

A. いいえ、過去の相続放棄は他の相続に影響しません。 例えば、父親の相続を放棄しても、母親の相続時に通常どおり相続する権利は残ります。

Q48. 相続放棄をすると、戸籍に記載されますか?

A. いいえ、相続放棄の事実は戸籍には記載されません。 そのため、相続放棄をしたことを他人が戸籍を見て知ることはありません。ただし、家庭裁判所に申請すれば、相続放棄をしたかどうかを確認することは可能です。

Q49. 相続放棄をすると、遺言の内容も無効になりますか?

A. 遺言は無効にはなりませんが、相続放棄をした場合、その遺言の効力も及ばなくなります。 例えば、「長男に全財産を相続させる」と書かれていても、長男が相続放棄をすれば、その財産は他の相続人へ移るか、最終的に国に帰属します。

Q50. 相続放棄の手続きには、どのくらいの費用がかかりますか?

A. 申立手数料は1人あたり800円 です。これに加えて、郵便切手代(家庭裁判所によって異なる)や、弁護士に依頼する場合の費用が発生することもあります。弁護士費用は5万円〜10万円程度が一般的です。

目次